ディープテック 世界の未来を切り開く「眠れる技術」

ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」 | 丸 幸弘, 尾原和啓 |本 | 通販 | Amazon https://www.amazon.co.jp/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF-%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%92%E5%88%87%E3%82%8A%E6%8B%93%E3%81%8F%E3%80%8C%E7%9C%A0%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%80%8D-%E4%B8%B8-%E5%B9%B8%E5%BC%98/dp/4296103636/

きっかけはこの記事。ただ、本書の共著者である尾原和啓さんの「アフターデジタル」は以前読んだこともあり、どちらにしても近いうちに手にとったかもしれない。

ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」書評|Hal Seki|note

「ディープテック」という言葉は英語圏でも一応あるがそこまで存在感のある言葉にはなっていなさそうだ。

Deep tech - Wikipedia

ただ、本書では特にディープテックの主な舞台を東南アジアとしてるので、英語圏でもむしろこれからなのかもしれない。 この分野が東南アジアという経済が急成長している地域で盛んになっているのは、いまグレタさんの国連での演説でも話題にもなった、環境問題と経済成長との両立という課題を真っ向から解決しないといけない地域であるというのもあるのだと思う。それを両立させる道としてディープテックがある。

ディープテックとは何かを本書の定義に沿ってより簡潔にいうなら、「時間も資本も必要で参入障壁の高い、社会的な課題を解決しようとするテクノロジー(もしくはスタートアップ企業)」ということになる。

本書で挙げられている事例をメモ。

  • パーム油の絞りカスから新たな商品を生み出す(Noveltindo Eiyo Technoprima)
  • 車のガソリン・メンテナンス・代車代込の月額定額制のレンタカーサービス

www.riversimple.com

  • 重いプロパンガスのボンベをこれまでの鋼材ではなく強化プラスチックを使った軽量な素材で置き換える

tech.nikkeibp.co.jp

  • 塩と水で灯りを灯す塩ランプの開発(SALt)
  • スマートフォンを使って本の文章を点字に変換する(ReadRing)
  • マメ科の根粒植物を使った二酸化炭素削減(The Audacious Project)
  • ドローンを使ったインフラ設備や建設現場のモニタリング(エアロダイン)
  • 石炭燃料の廃棄物を道路に敷くアスファルトの代替の建築素材として使う(Tech Prom Lab)
  • 液体を使った空気を清浄する(新重工)
  • ドローンによる苗植え(Rice Seed Sowing)
  • ライスハスクを使った小型の米乾燥機(KomeTech)
  • ライスハスクからシリカを生成
  • シリカにニッケルのナノ粒子を付着させて殺菌効果のあるゴムを開発(Bac Off)
  • キッチンのゴミ箱にカメラと重量計を設置し、食糧廃棄を減らす方法をAIがアドバイス(Winnow)
  • 高圧の二酸化炭素を使うことで*染色する際の水やケミカル物質を省資源化・リサイクル(DyeCoo)
  • 月額制で水の使用料を払うかわりに井戸の設置の初期投資を負担するサービス
  • 機械油のサブスクリプション(Kluber Lubrication)
  • プロペラのない、垂直軸型マグナス式風力発電機(チャレナジー)
  • 米からエタノールを製造(ファーメンステーション)
  • ミドリムシの培養プールとその建設費削減(ユーグレナ、小橋工業)
  • 不要になった衣類やプラスチックをリサイクル(日本環境設計)
  • 植物工場を中心とした街形成(ファームシップ)
  • ジェネリック医療機器(レキオ・パワー)
  • 電力を使わず脈動流を起こす節水ノズル(DG TAKANO)

ディープテックを特徴づけるキーワードとして2つ挙げられている。 * by-product - 何かの商品の副産物(主にこれまで廃棄物だったものを使う)として新しい商品を生み出すこと * decentralized - 非中央集権的・分散的なアプローチを取ること

私自身も11月からまさにディープテックな業界に飛び込もうとしている。ディープテックという言葉はこれまで知らなかったが、わかりやすい単語が本にもなって出てくるというタイミングで、そういう時流があるのだと思う。その点でタイムリーな本だった。